<トークイベント>吉形玲美先生と優木まおみさんが語る!更年期マネジメント
2025年7月、QVCでは産婦人科専門医の吉形玲美さんとタレントの優木まおみさんのトークショーイベントを開催。吉形先生には更年期についての正しい知識をお話しいただき、優木さんには更年期やライフスタイルについて伺いました。
女性の体と女性ホルモンについて
女性の体には、卵巣があります。そこから、エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)の二つのホルモンが出て、女性の体を作ってくれます。エストロゲンは、女性らしい体を作り、皮膚の潤いや血管などを守ってくれるホルモンです。 女性ホルモンは、脳と卵巣が上手く連携をして、卵巣からスムーズに流れるようになっています。妊娠をしなければ、月1回、子宮内膜はエストロゲン、プロゲステロンそれぞれの影響を受けて月経となって剥がれ落ちます。(吉形先生)
更年期について~エストロゲンの減少~
卵巣の機能は永久ではなく、更年期という時期を迎えると女性ホルモンが揺らぎ始めて、卵巣もだんだん小さくなってきます。そこから排卵する卵がなくなると閉経になります。また、閉経すると、女性ホルモンのエストロゲンは急激に減少します。この閉経する前後5年ずつ、10年くらいの時期を「更年期」といいます。閉経する時期は様々で、40代前半で早めに閉経する方もいれば、50代後半で遅めに閉経する方もいるので、自分の更年期を知るためには、その目安を捉えることが大事になってきます。(吉形先生)
優木まおみさんの更年期への向き合い方
「更年期障害」という言葉が先にいきすぎてしまって、「何か不調が起きるものだ、起きるに違いない」と思いがちだけれど、思春期があって、性成熟期があって、更年期があって、高齢期がある…と思うと、ただの「一つの時期」の目安でしかないのだなと思いました。時期も、およそ10年間と思うと長い期間ですし、あまり点でとらえすぎないように、ゆるやかに「期間」ととらえてどうやって過ごしていくのが大事だな、と思います。(優木さん)
生理が順調であれば、大きく心配はしなくてもよいですが、今までなかった症状がでてきたら記録をしておくとひとつの目安になると思います。心の不調だと、思春期と更年期は似ているよねと優木さんと話していました。思春期と更年期はホルモンが揺らいでいるので瞬間的にイライラしたり、イライラした自分に急に落ち込んで悲しくなったり。あとは、慢性的に鬱々としたりします。(吉形先生)
私は、長女が11歳~12歳くらいで、娘が思春期の入口にいるなとすごく感じています。昨日の感情と今日の感情が全然違う。親としては、それにドッキリさせられる。昨日はこう言ってたのに今日はこう言ってる…と。自分が思春期のときは、その自覚がない。でもヒトゴトとして見たときに、更年期も似ているなと。少し客観視してみることができる。(優木さん)
ホルモンの揺らぎは自律神経やメンタルの状態にも直結していて、不眠や眠りが浅くなったり途中で目が覚めたりしちゃう。ホットフラッシュや発汗がひどい人は不眠になりやすいです。この状況を放っておくと、今度は血管に関する病気のリスクがあがってしまうんです。だから、更年期マネジメントをすることが大切になってきます。(吉形先生)
HRT(ホルモン補充療法)
ひとつめは、お薬で揺らいでいる女性ホルモンを補うホルモン補充療法。保険診療が確立されているので、年に1回~2回血液検査や婦人科検診などはしますが、「これは更年期症状かな?」と感じたら、そんなにかまえずに、婦人科にご相談ください。もし不調になったらあの婦人科にいこう、というのをあらかじめ探しておくといいと思います。
エクオールサプリメント
エクオールサプリメントは私もずっと飲んでいるのですが、簡単にいうと植物性の女性ホルモンです。病院処方とは違い、薬局や通販などでも買うことができます。更年期症状の予防、あとは抗酸化作用も強いので美容面でもメリットがあります。40代くらいになったら飲むといいと思います。
漢方薬
漢方薬は、元々汗っかき、冷え性、イライラする…そんな方にもおすすめです。保険処方もしてもらえるし、ドラッグストアでも気軽に買うことができます。
優木まおみさんが考える「更年期マネジメント」
「更年期マネジメント」という言葉はすごくよいですね。自分をわがままタレントと見立てて、客観視できる。自分自身がマネージャーになってあげる。自分自身だと、どうしよう…と真ん中でとらえすぎるところも、「人のこと」ととらえて俯瞰でマネジメントしてあげる。すごく良いなと思いました!(優木さん)
客観視はすごく大事で、客観視+正しい知識があると、更年期もラクに過ごせる。この3つは、組み合わせもできるので、どれから始めてもよいですよ。(吉形先生)
筋活について
運動すると、冷え性も解消するし、筋肉も増える。ぜひ積極的に取り入れましょう。気軽に取り入れられる運動としては、30分くらいのウォーキングがおすすめ。自律神経を整えるヨガやピラティスなどもとても良いです。
骨活について
骨活はいつ始めてもOK。実は、骨は壊して作られて…と代謝して入れ替わっていくんです。ある日突然骨粗しょう症になるわけではなく、およそ20年ほどかけて骨密度が減っていく。なので、更年期は骨についても意識しておきたいですね。骨の状態を知るために一番良いのは骨密度検査。健康診断のオプション検査で入っていることが多いので、ぜひ検査してみてください。骨強度を高めるためには、食べ物ももちろん大事ですが、実は骨は重力の刺激があると密度が増える。だから、足の骨に刺激を与えてあげましょう。例えば、運動でいうとダンスなど。ウォーキングでも、少し強度をつけてあげる。かかと落とし運動、ジャンプなども良いですよ。
温活について
温活は良質な睡眠にもつながります。良質な睡眠のためには、まず、寝る前には基本的にスマホやパソコンなどのブルーライトを見ないこと。毎日10分くらいの入浴習慣をつけることもおすすめです。そのときに、お湯の温度は熱すぎず、入る時間は長すぎないこともポイント。運動はストレッチなどの軽いものにしましょう。ボディマッサージ、ストレッチボールやポールでリンパを流すのも◎。
専門家直伝!更年期を迎える世代におすすめの食生活
筋活も骨活も温活も、食べてほしいものは一緒。ビタミンB、カルシウム、ビタミンAを摂る。タンパク質、鉄分を意識して食べましょう。豆腐や納豆などのイソフラボン食材を摂取すると、エクオールを作ってくれる。アボカドやナッツに入っているビタミンEも女性ホルモンにいいので、私もよく摂取しています。シソなどの香味野菜は、血行を促進してくれますし、あとはビタミンDが摂れるお魚。生だとより良いです。腸内環境のためにはある程度糖質も必要なので、糖質制限はしすぎないほうが良いです。パンを食べるときは、バターやオリーブオイルなどの油脂を付けた方が血糖値が上がりにくいですよ。あとは発酵食品。納豆やキムチ、ヨーグルトは腸内環境にとても良いのでおすすめです。
フェムケアについて
そして、必ずお伝えしておきたいことがフェムゾーンのケア。生理がある方は、おりものやニオイについてのお悩みがあるかと思います。生理を卒業された方は、泌尿器のお悩みが増える。膀胱炎になりやすかったり、尿モレが増えたり…。でもそういったお悩みは、人には言い出しづらいですよね。おりものは、自分の体を守ってくれるものなので、洗いすぎないことも大切。更年期以降は、おりものも減っていくので専用の保湿剤や膣に入れるジェルなどでうまくカバーしていきましょう。
優木まおみさんのライフスタイル
入浴は私も毎日欠かさずしています。心のスイッチもそうだし、体の温度を上げることをすごく大事にしています。ただ、食事面に関しては…夏バテの時期に何も食べたくなくなって、そうめんしかいらない!とかなってしまうこともある。ここで、足りないものを食べようと頑張りすぎるんだったら、サプリメントなどを上手に使っていくことも大事かもしれないですね。更年期は症状が人それぞれなので、自分を責めないこと。更年期マネジメントは、人と比べない、自分にとって良いことをする「自分ファースト」が大切だな、と思いました。(優木さん)
優木まおみさん直伝!心を落ち着ける呼吸法
人と比べない、気にしない、と思いつつ、そういった気持ちに飲み込まれそうになることも。ピラティスの呼吸法はすごく良いです。息を吸って4秒止めて、吐ききって4秒止めて、吸って4秒止めて、吐ききって4秒止めて…頭の中で四角を描いてもらって、一辺ごとに息を吸って止めて、吐いて止めて…3回繰り返しましょう。メトロノームを聞きながら行うと、心も落ち着くのでおすすめです。心の中がいそがしいとき、落ち着かないときにもぜひ試してみてください。
会場でご紹介したQVCおすすめアイテム
Q&A
Q. 更年期症状の受診のタイミングは?
A. 自分がつらい、おかしいと思ったときが受診のタイミング。もし更年期症状じゃなくても、気になったら受診したほうがいいです。生理がある方は生理前のPMSもあるので、婦人科に行くと先生がPMSなのか更年期障害なのか診断してくれます。(吉形先生)
Q. おすすめのスイーツや食べるタイミングは?
A. 間食はナッツ、豆類…和菓子で小豆が入っているものだと血糖値がゆるやかに上がるのでおすすめです。タイミングとしては、食事のあとにそのまま続けて食べると血糖値が上がりすぎません。(吉形先生)
Q. 美と健康のための優木さんのルーティンを教えてください
A. 入浴は毎日行っているのですが、その他には毎朝無塩のトマトジュースをレンジで少し温めて飲んでいます。(優木さん)
トマトジュースは吸収も良くてビタミンも摂れますし、抗酸化作用もあるのでとてもよいです。私も唯一飲んでいるジュースです。(吉形先生)
Q. 優木さんが意識して摂っている食材は?
A. 先生がおっしゃっていた、摂取すると良いものはわりと自分の食生活の中に取り入れていました。好きな食べ物はお寿司やお刺身などの生魚。アボカドやサーモンも大好き。よくポキ丼にして食べています。(優木さん)
骨活におすすめのビタミンDは、鮭にすごく多く含まれています。なので鮭はすごくおすすめの食材のひとつ。ビタミンDは、血液検査で足りているかどうかも調べることができます。私はサプリメントでも摂っています。(吉形先生)
Q. 良質な睡眠のために睡眠環境で意識していることは?
A. 寝具に関しては柔らかすぎず、例えば枕は自分の首のカーブに沿ったものを使っています。あとは空調も気をつけています。スマホは寝室には置いていません。「寝ても寝ても眠い」は、実は更年期ではなくうつ病などの別の病気のサインかも。更年期症状は、うつ病や甲状腺関連の症状と間違いやすいものもあるので、気になったらまずは婦人科を受診してみましょう。(吉形先生)
Q. ヨガやピラティス、骨盤底筋について
A. 体が固まっていると、骨盤底筋が機能しないことも。ピラティスでひとまず体をゆるめて、きちんと正しい位置に体にリマインドしていく。体幹を整えることで、骨盤底筋も自然と整っていきます。交感神経と副交感神経のバランスを保つためにも、呼吸は意識すると良いですよ。(優木さん)
ヨガについていうと、欧米の教科書にも更年期障害に女性ホルモンを使えない方の代替療法としても載っています。骨盤底筋のことに関しては、今はフェムテックで様々なアイテムが出てきています。膣内に器具を入れてアプリでチェックしたり、EMSで鍛えたりできるものも。そういったサポートアイテムをうまく使いながら意識できると良いですね。(吉形先生)
Q. イライラして仕方ないときはどうしたらいい?
A. まずは優木さんが教えてくださった呼吸法を試してみるとよいかもしれませんね。そういう気質の方もいるので、その場合は漢方薬がよいです。精神的につらいのであれば心療内科などもありますし、ホルモンのアップダウンが原因であればホルモン治療もあります。若い方だとピルを飲んだり。年代別に適したホルモン治療があります。(吉形先生)
更年期世代の方は、優木さんもおっしゃってましたが、我慢しない、人と比べないことが大切。今は色々な解決法もありますので、何から手をつけていいか分からない、というときは1冊でよいので婦人科の専門医が書いた本を1冊読み切ってもらうだけでも安心すると思うのでおすすめです。(吉形先生)
人生はまだまだ長いですし、更年期で変わりゆく自分に対して悲観的にならずに受け入れながら、「これをやらなきゃいけない」などではなく、色々興味があるものを試していきたいなと思いました。まずは自分のあまりよくない習慣について知って、やめてみることも大事。断捨離の「断」ですね。上手く自分主体で取捨選択をしていきたいです。(優木さん)