閉経マネジメントって?更年期をラクに乗り切るコツ

閉経マネジメントって?更年期をラクに乗り切るコツ

閉経する前後5年ずつ、約10年の「更年期」。何か気になる症状が出たら、適切に対応していきましょう。自分自身の心と体をコントロールする「閉経マネジメント」は、更年期をうまく乗り切るための合言葉。40代からの閉経マネジメント、はじめませんか?

この記事の監修者

医学博士/産婦人科専門医/日本更年期と加齢のヘルスケア学会 副理事長/グランドハイメディック倶楽部 倶楽部ドクター

吉形玲美

産婦人科臨床医として医療の最前線に立ち、婦人科腫瘍手術等を手掛ける傍ら、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。月経不順、妊活、更年期など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。著書に『40代から始めよう!閉経マネジメント』(講談社)。

多少無茶しても大丈夫だった20~30代。更年期は、女性ホルモンという自分を守ってくれていたホルモンが徐々に少なくなってしまう時期。以前のように簡単にはもとに戻れない内面の変化、体の変化を感じることもあるでしょう。

でも、本来の更年期世代は、自立して、やりたいことをやって一番楽しく過ごせる時期。自分が健やかに心地よく、そしてその後の高齢期を気持ちよく過ごしていくために。ヘルスリテラシーを上げて、自分自身をマネジメントしていきましょう!

今回は、日常に取り入れやすい3つの生活習慣についてご紹介します。

更年期は不調をイメージする時期ではなく、将来のQOL(生活の質)を左右する重要な転換期。まずは更年期や更年期障害について、正しい知識を知りましょう。

体を温める、「温活」。血流が良くなると、お肌、内臓、頭…心身の健康の源になります。そして、良質な睡眠にもつながります。全身の元気をキープするために、健康の面でも美容の面でも大事だと思っています。

血流をよくするためのアプローチ

私は、血の巡りを良くするために日々ストレッチやマッサージをしています。自分の体をちゃんと触って、血液やリンパを流す。パソコンを使いすぎたら、腕、首、頭…簡単なことですが、凝り固まったままにしないように気を付けています。

あとは運動。よく歩いたり、有酸素運動したりして血流を良くすることを心がけています。

お風呂でのセルフケアについて

お風呂については、長風呂は皮膚の乾燥や心肺機能への影響が懸念されるので、熱すぎない温度で10分くらいをめどに短時間湯船につかることをおすすめします。私はお風呂のときに首全体を触りながらケアをしています。

あとは塩が入っているバスソルトを入れる。アロマとソルトが一緒になったもので、リラックスタイムを過ごしてみるのもおすすめです。

おすすめの食材、レシピ

私のおすすめは香味野菜全般ですが、例えばニンニクは臭いが気になることもありますよね。私は食材では特に生姜を活用していて、普通の人より大量に生姜を食べていると思います。

生姜はすりおろしたものや千切りにしたものをあらかじめどっさり作って、料理や飲み物によく入れています。

すりおろし生姜はハーブティーやお白湯などのドリンクに入れる、冷ややっこに乗せる、お料理に入れる…など簡単に取り入れられるのでおすすめです!

健やかな毎日のために、日頃から取り入れていきたい「筋活」。ただし、しっかり運動をして筋肉が多いほうが好ましいのは、特に閉経後の方々です。

閉経後は女性ホルモンがほぼゼロになってしまうのですが、その代わりに男性ホルモンが体に好影響を与えてくれます。そのため、男性ホルモンを産生してくれる筋肉はとても重要になってきます。閉経前の方は、軽い運動習慣をつけておくことがおすすめです。

手軽に始める!筋活のはじめの一歩

まずは、歩きスマホなどはせず、空や自然を眺められる環境で歩いてみてください。気持ちのリフレッシュもかねて、屋内よりも屋外が良いですね。全体で1時間くらい歩けると◎。会話ができるくらいの運動強度なら、夕方や夜でも大丈夫。ただ、睡眠を促進するメラトニンというホルモンや体内時計のリズムのことを考えると、午前中の明るい時間に外を歩くのがおすすめ。

私自身も、週1~2回のダンスレッスンに通うことに加えて、普段もなるべく歩くようにして運動習慣をつけています。

筋活におすすめの食材や栄養素

筋活だけに言えることではありませんが、必要な栄養素はサプリなどよりもなるべく食事から摂るようにしています。タンパク源として、魚や大豆食品はよく食べるようにしています。

あと、卵はコレステロールが気にならない程度に取り入れる。魚は、筋力アップや転倒予防につながるビタミンDが多い鮭が特におすすめです。

実は、普通に歩くだけでは筋肉はほとんどつきません。筋活という観点では、例えば坂道があるところを歩いたり、階段を登ったり…強度をつけながらウォーキングすると良いですね。

ある日突然骨粗しょう症になるわけではなく、およそ数十年かけて正常な状態から骨粗しょう症になっていく。なので、更年期は骨についても意識しておきたいですね。骨密度検査は健康診断のオプション検査で入っていることが多いので、ぜひ検査してみてください。

見た目で判断がつく?骨密度の高さ

骨密度に関しては、統計的にも華奢なやせ型の方の骨密度が低いことは分かっているので、思い当たる方は骨密度検査を受けてみると良いと思います。逆に肥満型の方は重力が骨にかかるので、骨密度は問題ないことが多いです。

ただ、糖尿病などの生活習慣病がある方は骨の質が悪くなりやすいため、骨密度が高いのに、骨折してしまうケースもあります。

女性ホルモンと骨密度の関係性

実は、骨は新陳代謝をする臓器で私たちの全身は数年で入れ替わっています。骨はカルシウムの塊という印象があるかと思いますが、常に作って壊して…という新陳代謝が行われています。

その際に、骨を作る細胞を促進して、骨を壊す細胞を抑制するのも女性ホルモンの働きの一つです。女性ホルモンが欠乏してしまうと、骨を作る細胞が減り、壊す細胞が増えてしまうので、骨がどんどんやせ細ってしまいます。

こんな運動・栄養素がおすすめ!骨密度のために意識すると良いこと

例えばかかと落としのように下半身の骨に重力の衝撃を与えるような動きは、骨の密度を上げる働きがあります。例えば自転車や水泳は有酸素運動としては良いのですが、骨活として考えると、下半身に加重がかかるダンス系や、あとはバレー、バスケットボールなどのジャンプするスポーツがおすすめです。

栄養素は、カルシウムはもちろん大事ですが、ビタミンDがあってこそのカルシウム。先ほどお伝えした鮭も優秀な食材です。ビタミンD、そしてカルシウム、あとは青物野菜や納豆に多いビタミンK。例えばタンパク質を摂ろうと思って食べた食材でも、ビタミンDやミネラルなども複合して栄養素が摂れるので、食事についてはなるべく意識するといいですね。温活、筋活、骨活。直接的ではないのですが、口から入るものは骨、内臓、皮膚…自分の体すべてに影響を及ぼすので、私自身も添加物は控えるなど気を付けています。

私がよく食べているのは鮭。野菜も大量に食べています。ビタミンDは血液検査でも測ることができるので、足りていなければサプリメントで補っても良いと思います。

様々な情報がある中、更年期について不安に感じることもあるかもしれません。でも、まずはしっかりと正しい知識をつけることが大切です。知識を得る手段としておすすめなのは、女性医療や更年期医療の専門の先生の更年期に関する書籍を1冊読んでみることです。

女性ホルモンは万人が減っていくもの。それなら、減ることで何かが起きたときに、どんな対策をするのか。女性ホルモンの変化を中心に正しい知識を身につけて、自分のライフステージに合わせた対策を考えてほしいと思います。

※専門家の見解であり効果を保証するものではありません
※QVCジャパンがインタビューした内容をまとめたコラムです

#閉経マネジメント #更年期症状 #骨密度 #女性の健康的な生活