更年期の「眠り」と「代謝」の秘密:オトナ女子の人生戦略

更年期の「眠り」と「代謝」の秘密:オトナ女子の人生戦略

「昔と比べて同じように食べているのに、どうして太りやすくなるんだろう…」40代後半から50代にかけて、体型の変化に悩む女性は少なくありません。その原因の一つとして、更年期によるホルモンバランスの乱れも関係するのはご存知でしょうか。

この記事の監修者

株式会社three jobs代表取締役、一般社団法人睡眠body協会代表理事、
iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授、理学療法士

矢間あや

専業主婦から離婚をきっかけに理学療法士に。医療現場での経験を活かし「睡眠の専門家」としてブランディングし独立。睡眠を切り口に、人的資本経営/健康経営をテーマに企業向けに講演や研修を行う。さらに自身で広報PRを行い、述べ50媒体以上に掲載される。この経験を活かし、経営視点を取り入れたパブリックリレーションズ支援を行う。睡眠を切り口にした人的資産と経営をつなぐ専門家として、組織の問題解決に貢献している。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、代謝を活発にする働きがあります。
しかし、更年期を迎えるとエストロゲンの分泌量が急激に低下します。すると、基礎代謝が落ち、今までと同じ生活をしていてもエネルギーを消費しにくくなります。
さらに、更年期の睡眠問題は、エストロゲンの急激な減少がセロトニン産生を阻害し、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量を減少させることが、要因の1つとも考えられています。

エストロゲンとプロゲステロンの二重奏

エストロゲンとプロゲステロンは、女性の体をコントロールする2つの重要なホルモンです。エストロゲンは、女性らしい体つきを促したり、肌のハリを保つ働きがあり、プロゲステロンは、妊娠を維持するために子宮内膜を整えるなど、主に妊娠に関わる働きをします。
この2つのホルモンは、月経周期に合わせて分泌量が変動し、お互いにバランスを取りながら働くことで、女性の健康を支えています。 更年期になると、エストロゲンの分泌量が急激に減少するため、心身にさまざまな変化が現れます。

女性ホルモンの変化が引き起こす睡眠の変化

睡眠ホルモンの減少

エストロゲンの分泌が減少すると、睡眠を促すメラトニンというホルモンも減少すると考えられています。そのため、なかなか寝付けなくなることや、夜中に何度も目が覚める中途覚醒が起こりやすくなります。
また、エストロゲンにはストレスを和らげる効果もあるため、エストロゲンの減少は、些細な事象にイライラしたり、不安感の増加を引き起こす原因と考えられており、そんな精神的な不安定さが眠りにも影響する場合があります。

体温調節の不調

エストロゲンには、体温を調節する働きもあると考えられています。そのため、エストロゲンが減ると、体温調節がうまくいかなくなり、ほてりや発汗が起こりやすくなると考えられています。これは寝ている間にも現れ、「体が熱くなって目が覚めてしまう」など睡眠の問題に繋がります。

肥満と睡眠時無呼吸症候群

更年期になると女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが減少します。エストロゲンの減少でお腹周りに脂肪がつきやすくなり、体重が増えやすくなります。 一方、プロゲステロンの減少は喉の筋肉をゆるめると考えられており、寝ている間に気道が狭くなる傾向がみられます。体重の増加と筋肉のゆるみが重なると、いびきや呼吸が一時的に止まる「睡眠時無呼吸症候群」が起こりやすくなります。

年齢が引き起こす睡眠の変化

さらに、年齢を重ねると若い頃に比べて体力が落ちたり、白髪が増えるなど様々な変化を実感します。睡眠も同じ様に、若い頃と比べると変化し、深い眠りのレム睡眠時間が少なくなり、若い頃にはなかった中途覚醒の時間が増えると考えられています。だからちょっとした物音でも目が覚めやすくなり、夜中にトイレに起きる回数が増えてしまうのです。
参照:厚生労働省eヘルスネット 高齢者の睡眠

年齢が引き起こす睡眠の変化

私たちの体は、寝ている間に成長ホルモンを分泌したり、筋肉を修復したりしています。しかし、睡眠時間が不足すると、成長ホルモンの分泌が滞り、代謝がさらに低下します。 また、睡眠不足はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を促し、筋肉を分解して脂肪を溜め込みやすくする作用もあるのです。
つまり、睡眠不足は「痩せスイッチ」をOFFにし、「太りやすい体」を加速させる悪循環を生み出してしまうのです。

栄養戦略

更年期は代謝が低下しやすいので、適度な運動と共にタンパク質をしっかり摂り、筋肉量を維持し、基礎代謝の低下を防ぎましょう。鶏肉や豆腐、バナナなどに含まれるトリプトファンを含む食品は、睡眠ホルモンであるメラトニンの生成を助けると考えられています。また、ナッツ類や緑黄色野菜に含まれるマグネシウムは筋肉の緊張をほぐし、深い眠りをサポートすると言われています。

カフェインやアルコールは睡眠に影響を及ぼすので、適量を楽しむことも重要です。

体温戦略

更年期では代謝の低下と共に、体温調節機能も乱れやすくなります。
適度な運動は筋肉量を増やし、基礎代謝を上げるだけでなく、体温のリズムを整える効果も期待できます。 そのためには、きつい運動よりウォーキングやストレッチ、ガーデニングなどがおすすめです。特にガーデニングや畑仕事は身体的・精神的な健康を促し、夜間の自然な眠りを誘います。
続けるためには無理のない範囲で、生活の中で体を動かす習慣を増やすことが大切です。

自分を大切にする戦略

更年期は、心身に様々な変化が訪れる時期です。
これまで当たり前にできていたことができなくなったり、今まで感じたことのない不調に悩まされ、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。更年期は誰にでも訪れる人生の通過点です。
自分を大切にするということは、無理をしないこと。頑張りすぎないこと。そして、自分の心と体の声に耳を傾けることです。不調を感じたら、休息を取ったり、専門家に相談することも大切です。

女性ホルモン(主にエストロゲンとプロゲステロン)が、一生涯にわたって作られる量は、およそティースプーン1杯(約5-10ml)と言われています。
たったそれだけの量で、私たちの体は大きな影響を受けます。
しかしこれは、新たなライフステージに適応するための体からのメッセージ。
『オトナの青春期』を謳歌するために、賢く不調を乗り切る知識をつけていきましょう。

※専門家の見解であり効果を保証するものではありません
※QVCがお悩みのヒントになるコラムの執筆を専門家にお願いしました

#更年期 #睡眠 #代謝 #女性ホルモン