【医師解説】シワの種類とその原因とは?美容医療での治療についても解説

【医師解説】シワの種類とその原因とは?美容医療での治療についても解説

ふと鏡をのぞき込んだとき、目尻やほうれい線のシワが気になる瞬間があるのではないでしょうか。

それはきっとたくさんの笑顔の証しでもあり、同時に年齢の証しでもあります。

その意味でシワは人の人生を物語る“刻印”でもありますが、美容医療の進歩によって、今やそのシワを浅くしたりできにくくしたり、場合によっては消してしまうことも可能になってきました。

ここでは、シワの種類と成因、そして美容外科・美容皮膚科それぞれのアプローチについて最新治療も交えながら解説していきたいと思います。

この記事の監修者

日本美容外科学会認定専門医 Original Beauty Clinic GINZA 院長

佐藤 玲史(さとう れいじ)

東京都生まれ。慶應義塾大学 商学部を卒業後、保険会社に勤務。
医師になるために医学部受験を決意。国立 東京医科歯科大学(現 東京科学大学) 医学部医学科卒。
大手美容外科にて千葉・新宿・上野の各院で院長・顧問を歴任。有名美容外科の銀座にて院長就任。
2020年4月銀座にてOriginal Beauty Clinic GINZAを開院。現在に至る。

シワは大きく分けると以下の三つに分類されます。

  • 表情ジワ
  • ちりめんジワ
  • たるみジワ

それぞれの特徴を見ていきましょう。

表情ジワ(動的シワ)

表情ジワとは、動的シワとも呼ばれ、笑う、怒る、驚くといった表情筋の動きによって皮膚が折りたたまれ、それが繰り返されるうちに線が残ってしまうタイプです。代表例は“カラスの足跡”とも呼ばれる目尻のシワや眉間の縦ジワ、額の横ジワなどです。若い頃は筋肉の動きに合わせて出たり消えたりしますが、加齢やコラーゲン減少によって徐々に固定化していってしまいます。

ちりめんジワ(静的シワ)

ちりめんジワとは、静的シワとも呼ばれ、乾燥や紫外線によって皮膚の角質層や真皮の水分量が低下し、皮膚表面に細かく浅いシワが広がるタイプです。目の下や頬の高い位置に現れやすく、「乾燥小ジワ」とも呼ばれます。

たるみジワ(構造的シワ)

たるみジワは、構造的シワとも呼ばれ、加齢に伴う皮膚の弛みや脂肪の下垂によって、皮膚が余り、折り目ができるタイプです。

ほうれい線や口角から下がるマリオネットライン、首の横ジワなどが代表的です。骨格の変化や重力の影響も大きく関与しています。

シワの根本原因は単純ではなく、以下のような複数の要素が絡み合います。

加齢によるコラーゲン・エラスチンの減少

真皮層で肌の弾力を支えるコラーゲンやエラスチンは、加齢とともに産生が減り、断片化していってしまいます。その結果、肌のハリが失われ、折り目が戻らなくなります。

紫外線による光老化

紫外線A波(UVA)は真皮にまで到達し、コラーゲンやエラスチンを破壊する酵素を活性化します。従って、屋外スポーツや日焼け止めを使わない生活習慣は、シワ形成を早める大きな要因のひとつとなります。

乾燥

角質層の水分保持力が低下すると、肌の弾力が失われ、表情による折り目が刻まれやすくなります。空気の乾燥や加齢による皮脂分泌低下が関係します。また洗顔をし過ぎることも要因となることに注意が必要です。

表情筋の使い方

感情表現が豊かな人や、視力低下によって目を細める癖があるような人は、特定部位に負荷が集中し、動的シワが早期に定着することがあります。

重力と骨格の変化

加齢により顔の脂肪や骨量が減少すると、皮膚の支えが失われ、下方向へのたるみとともに構造的シワが形成されます。

ここからはシワの治療法について、美容外科・美容皮膚科それぞれの側面から見ていきましょう。最新の治療法についても紹介していきます。

美容外科的治療法

まず、美容外科では、メスや針などを使って直接的に皮膚や組織を操作し、構造的な改善を行います。深いシワやたるみにアプローチする際、特に効果を発揮します。

フェイスリフト フェイスリフトは、こめかみや耳の周囲から皮膚を切開し、皮下組織(主にSMAS層)を引き上げて切除・縫合する手術です。
ほうれい線やマリオネットライン、顎下のたるみに大きな効果があります。効果は5〜10年と長く、構造的シワへの最も根本的なアプローチです。
額リフト・眉毛下切開 額リフト・眉毛下切開は、額の横ジワや目元のシワの改善に用いられます。額全体を引き上げたり、眉下で皮膚を切除したりすることで、上まぶたのたるみや表情ジワを改善します。
脂肪注入 脂肪注入は、腹部や太腿などから自己脂肪を採取し、ほうれい線やこめかみなどの凹みに注入します。ボリュームを補うことで皮膚の折れ目を浅くできます。脂肪幹細胞による肌質改善効果も期待できます。
骨格的アプローチ 顎や頬骨の骨切り、インプラント挿入などにより、皮膚の張りを支える土台を再構築し、シワやたるみを間接的に改善することもできます。

美容皮膚科的治療法

一方、美容皮膚科では、基本的に切らずに皮膚や真皮への刺激・補充によって改善を目指します。その為、ダウンタイムが短く、軽度のシワ改善に向いています。

ボツリヌストキシン注射(ボトックスなど) ボトックスをはじめボツリヌストキシン注射は、表情筋の動きを一時的に弱め、動的シワを目立たなくすることでシワを防ぎます。眉間ジワや額ジワ、目尻ジワに効果的で、持続期間は3〜6か月です。
ヒアルロン酸注入 ヒアルロン酸注入は、真皮や皮下にヒアルロン酸と呼ばれるゼリー状の物質を充填し、シワの溝を物理的に持ち上げる方法です。
ほうれい線や口元のマリオネットラインの改善によく用いられます。最新の製剤では持続1年以上のものもあります。
レーザー・光治療
(フラクショナルCO₂レーザー、IPL、RFなど)
レーザー・光治療は、真皮に熱刺激を与え、コラーゲン産生を促します。ちりめんジワや肌質改善に有効で、複数回の施術で徐々にシワを改善させます。
マイクロニードリング(ダーマペンなど) マイクロニードリングは、微細な針で真皮を刺激し、創傷治癒の過程でコラーゲンを増やします。成長因子やPRP(多血小板血漿療法)を併用して効果を高めることもできます。
ケミカルピーリング 古い角質を除去し、ターンオーバーを促進します。主に浅い乾燥小ジワに有効です。

最新の治療法

最新の治療法についてみていきましょう。

RF付きマイクロニードリング 従来からRFの高周波治療とニードル治療はどちらもありましたが、RF付きマイクロニードリングはそれらを組み合わせたものです。
今まではニードルで穴を開け、そこに薬剤を塗布するだけという形でしたが、ニードルで薬剤を圧力をかけて注入したりすることでより深く確実に薬剤を皮内に届けることができるようになってきました。
ポリヌクレオチド注入(サーモン精子DNA) 自然なコラーゲン生成促進を狙う新手法で、効果は6~9ヶ月継続するとされます。ただし更なる研究が必要との声もあります。
エクソソーム療法 細胞間伝達物質の一つであるエクソソームを活用して肌再生やコラーゲン産生を促す先進的治療です。この治療も更なる研究がなされているところです。

シワは、表情や生活習慣、環境、そして遺伝の集積として、肌に現れます。
かつては「老化の象徴」として否定的に捉えられることが多かったですが、近年は“エイジングをどうデザインするか”という発想も広まりつつあります。

つまりすべてを消し去るのではなく、自分の年齢や生き方に合った“残すシワ”と“整えるシワ”を見極めることが、美容医療の成熟した使い方だと言えるでしょう。

美容外科は構造を変えることで、長期的かつ劇的な効果をもたらす一方、美容皮膚科は非侵襲的で、メンテナンス感覚で続けられる。どちらを選ぶかは、シワの種類や深さ、生活スタイル、求める自然さなど、状況によって異なってきます。

鏡に映る自分と向き合いながら、「これは残す」「ここは少し和らげる」と選び取る自由。それこそが、現代の美容医療が与えてくれる最大の贈り物かもしれません。

※専門家の見解であり効果を保証するものではありません
※QVCがお悩みのヒントになるコラムの執筆を専門家にお願いしました

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