漢方医学で考える「フェムケア」。

漢方医学で考える「フェムケア」。

更年期に起こる身体への変化は様々。
お肌や髪、ボディ、心身のゆらぎからくるお悩みも症状も人それぞれ。
その中で特に女性のデリケートゾーンは更年期に不調が現れることが多く、乾燥や肌荒れ、においなど、気になる変化や症状と向かい合うにあたり、ケアを見直すきっかけになることも。なかなか人に言えない、相談しにくいお悩みのため一人で抱えてしまう方も多いのでは。

漢方医学の視点から、考え方や向き合い方を石原先生にアドバイスいただきます。

この記事の監修者

医師・イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ理事、ロングライフラボ理事、秋田栄養短期大学特任教授

石原 新菜(いしはら にいな)

正しい知識を身に着けて、気持ちも身体も軽やかに。

女性のデリケートゾーンのお悩みについて。

更年期や閉経後などに潤い不足が気になるデリケートゾーンだけではなく、唾液が出る耳下腺、顎下腺、舌下腺なども、年齢とともに働きが落ちてきます。

唾液の分泌や膣の潤いにも、血流が関係しています。粘液を出したり、粘膜の潤いを保つためには、身体の全体の血のめぐりを良くしていくことが大切。細胞の働きのために、栄養や水分などがきちんと届くようにしてあげる。年齢とともに潤いを保つための働きが低下するのは自然なことですが、低下した分を補ってあげるように血流を良くしていきましょう。

乳酸菌は、更年期にとっても強い味方。

私たちの皮膚の上には常在菌としてたくさんの菌が住んでいるのですが、膣の中にも普段は乳酸菌がいてコンディションを保ってくれています。

においが気になる時やおりものの色、状態が普段と違っている時などは、常在菌の中に他の菌が入ってきてバランスが崩れた状態になっています。乳酸菌が優位な状態を保つことで、他の菌、たとえば大腸菌などが増えることを許さない状態になり、良いコンディションが保たれます。膣内環境のためには乳酸菌を増やす生活を心がけるのが大切です。

外側からのケアでしたら、膣に入れる乳酸菌のジェルなどもありますので、専門家のアドバイスを参考にしながら取り入れていくのも良いかと思います。

腸内環境と膣内環境は、ご近所付き合いのような関係。

腸内の乳酸菌と膣内の乳酸菌は、場所が別なので同じ菌でもあまり関係ないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、腸活をすると膣内の環境も良くなるという研究結果も出ています。

腸と膣は別の場所でありながらも、互いのコンディションに影響を与えあうという不思議な関係。デリケートゾーンのにおいやかゆみ、おりものなどでお悩みの方は、腸内環境を見直してみるのも良いかと思います。

腸内環境と膣内環境は、ご近所付き合いのような関係。

疲れや寝不足も、デリケートゾーンの状態に影響が。

毎日が忙しくて疲れがたまる、心労も多くてストレスがたまるなどで免疫が落ちた時に、膣カンジダになる方もいらっしゃると思います。私自身も大学時代、3日連続で徹夜をしたときは免疫が落ちました。デリケートゾーンのコンディションは、感染症など外側からの要因だけではなく、疲労やストレスなど内側の原因が大きく影響しています。お腹が冷えてしまうのも気を付けたいですね。菌と戦ってくれる白血球も、血流が悪ければ必要な場所に届きません。

また、女性は男性と比べて尿道も短く、細菌が膀胱に届きやすいため、膀胱炎になりやすい構造になっています。健康な状態であれば、血流にのって流れてきた白血球が細菌と戦ってくれますが、冷えていると白血球がいつものように活発に働けなくなり、外から入ってきている菌に負けてしまうということに。冷え、血流の悪さが原因となり、細菌に負けて膀胱炎になってしまうなど、トラブルも起きやすくなってしまいます。

やはり睡眠、運動、食事のバランスなど、当たり前のことですが毎日の生活が大切です。

漢方を活用するのも一つの方法。

生薬には潤いケアをサポートしてくれるものも色々あります。代表的なものは「地黄(じおう)」。みなさんも名前は聞いたことがあると思いますが、有名な漢方薬「八味地黄丸」の地黄です。その中の成分であるオモダカの茎が、潤いを守ってくれる成分になります。デリケートゾーンの乾燥でお悩みの方にもオススメする場合があります。

その他には「麦門冬湯」というのは、のどの乾燥が気になる方に。「四物湯」は、皮膚の乾燥や女性特有のお悩みが気になる方に。「加味逍遙散」はホットフラッシュなどでお悩みの方になど、症状に合わせて様々な漢方薬があります。

身体だけでなく、気分がふさいだり眠れなくなったり、メンタルに症状が出る方に処方する「半夏厚朴湯」などの漢方薬もありますので、医師に相談しながら自分に合ったものを探してみるのも良いと思います。更年期は様々な症状が変化しながら訪れます。

漢方はその時その時に困っている症状に合わせて処方が出来るので、ぜひ気軽に漢方医にもご相談してみてください。

健康のベースをあげていきましょう。

自分で出来ることは健康のベースを上げること!ホットフラッシュやのぼせでお悩みの方は、まずは下半身を動かしてみて下さい。カッカ、いらいら、まさに「頭に血がのぼった」ときは、血を下に流してあげましょう。

健康な方であれば家の周りを散歩するなどで足腰を動かすだけで、のぼせやほてりがスーッと収まることもありますよ。歩くことで症状がらくになり、足腰を鍛えることにもなります。一石二鳥ですね。

更年期のお悩み。周囲への理解を深めるためには?

最近ようやく「フェムテック」や「フェムケア」という言葉が一般的に浸透してきましたよね。以前は生理痛の悩みも職場では口に出しにくい雰囲気でした。今は社会が変化したなと実感しています。職場などで男性社員への教育なども進んできたとは思います。

それは素晴らしいことなのですが、それでもやはりまだまだ、と感じることはありますよね。男性には生理、妊娠、出産などもありませんし、ホルモンの変化も女性ほど激しくはありません。なので、実感しづらいというのはあるかもしれません。

日本の文化的に、察する優しさや気遣いが美徳とされていますが、更年期のお悩みに関してはどんどん言葉にして、伝えていくのが良いのかなと思います。言葉にして伝えないとわからないこともありますよね。家庭でも職場でも、女性が元気な方が、みんなが幸せ。女性に元気がないと、経済的にも大きな損失があるとも言われていますので、そういったアプローチ方法も効果的かもしれません。

地道に伝えて協力し合える関係を築いていければ、女性にとっても男性にとっても社会にとっても幸せなことだなと思います。お悩みの多い更年期を、みんなで一緒に乗り越えていきましょう。

※専門家の見解であり効果を保証するものではありません
※QVCジャパンがインタビューした内容をまとめたコラムです

#更年期ケア #フェムケア #漢方医学 #デリケートゾーンケア