更年期のすごしかた その1

更年期のすごしかた その1

閉経を迎える前後の約10年間は「更年期」と言われ、女性ホルモンの減少により、心身に様々な変化や不調が出てきます。知っているようで知らない更年期。どのように過ごせばよいのか分からず不安な方や、今まさに不調と向き合っている方も。更年期を過ぎたらどうなるの?更年期後の過ごし方は? など、知りたいこと、知っておきたいこともいっぱい。心身の変化などへの向き合い方、また、おすすめの過ごし方などについて、イシハラクリニック副院長の石原新菜(いしはら にいな)先生に、漢方、食事、生活改善など様々な観点からアドバイスをいただき、更年期でもイキイキと自分らしくすごすヒントを見つけて行きましょう。

この記事の監修者

医師・イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、
健康ソムリエ理事、ロングライフラボ理事

石原 新菜(いしはら にいな)

なんとなく言葉では知っている「更年期」ですが、私たちの体の中では、いったいどんな変化が起こっているのでしょうか?


まず更年期という期間は、一般的には50歳プラスマイナス5歳、つまり45歳くらいから55歳くらいとされているのですが、その期間の中で、たくさん症状が出る方もいますし、あまり変化を感じないという方もいらっしゃいます。やはり女性ホルモンの急激な減少が、身体の中で起きている大きな変化です。
それで急に色々な不調を感じる方がいらっしゃいます。男性はわりと緩やかにホルモンの変化があるのですが、女性は急激に下がります。それに身体がびっくりして対応しきれず、自律神経が乱れてくるというのがありますね。

たとえば、のぼせ、ほてり、動悸、ホットフラッシュ、眠れない、また、人によっては関節が痛くなる方もいらっしゃいます。その方によって、本当に様々です。人の数だけ症状がありますね。

更年期では様々な変化や不調が起こると思うのですが、石原先生の元へは、どういった症状を訴えてこられる方が多いですか?

ホットフラッシュやのぼせ感を感じて来られる方も多いですし、気持ちの変化とか、やる気がでないとか、だるさ、疲れやすさ、原因はわからないけれど何かが変、という方も多いですね。女性ホルモンの減少により自律神経が乱れるので、自律神経失調症のような症状が出たり、セロトニンの合成・分泌も下がるので、気持ちがネガティブっぽくなる方もたくさんいらっしゃいます。そして、セロトニンから夜の睡眠に関係してくるメラトニンが出てくるので、女性ホルモンの減少によりセロトニンが減ると、睡眠の質にも影響してきます。
あとは女性だけではなく、男性ホルモンも代謝に関わるので、男性もいわゆる「更年期」の年代になると、お腹がぽっこり、小太りになってくる方も多いですよね。暴飲暴食する方も、男性は女性より多い気もします。女性であれば、男性よりも急激にコレステロール値がガーンと上がったり、痩せにくくなったりしますよね。女性ホルモンは血管をしなやかにしてくれたり、良いこともたくさんあるので、更年期までは女性ホルモンが守ってくれていた、とも考えられます。

女性は更年期からの変化は急激ですが、男性は30代あたりから動脈硬化がはじまったりする。この、更年期で減少するまで身体を守ってくれていた女性ホルモンが、女性の長生きの秘訣なのでは?という考え方もあるんですよね。なので、更年期くらいから高血圧やコレステロールが急に気になる方が多いのです。

女性ホルモンに守られていた期間があるというのもそうですが、女性は生理や妊娠、出産などもあるので、体調的に男性ほど無茶をしないなど、身体に気を付けなければならないシーンが多いですよね。そういった気を付けた生活の積み重ねも、女性の健康、長寿の秘密かもしれませんね。100キロマラソンなどでも、最初のダッシュは男性が早くても、最後の最後までリタイアせずに、良い順位で走り抜けるのは女性の方が多いみたいですよ(笑)。

 

更年期をまだ迎えていない方が、これから来る更年期をラクに自分らしく過ごすために、先に準備しておくと良いことや、知っておくと良い知識、心構えなどはありますか?

更年期の症状が出やすい方って、真面目な性格の方や、心配性の方、頑張り屋さんなどが多く、身体だけではなく、精神面での影響も大きく出たりしますよね。
漢方の観点から見ると「昇症」というのがあります。生理があった時期は、毎月、子宮や卵巣に血液を多く送っていたのですが、それがだんだん止まってきて、そんなに送らなくなる。生理があったころは下半身への血流が良かったということになります。
例えば歩いたり運動したり、足腰を動かすのが普段から好きな方は、生理がなくなっても、そのまま下半身への血流は良いのですが、もともとあまり運動習慣がないなどで動かなかった方たちは、下半身へ巡っていた血流が、そのまま上に上がってくる。漢方医学的には、その症状は「昇症」と考え、ホットフラッシュや動悸、のぼせなどに関係していると考えます。
なので、これから更年期を迎えるという方には、足腰をとにかく動かして欲しいです。お風呂につかるのでも、トレーニングでも良いですし、下に血が集まるような生活習慣をしてほしいですね。今現在更年期の方も、取り入れて下さい。症状がきっとラクになりますよ!
カーっとなった時に、頭に昇った血を下に下げる。それだけで気持が落ち着いたりしますよ。更年期で怒りっぽくなったりしたら、歩いて血を下に下げるのもおすすめです。

今回の気づき

初潮から閉経まで、女性の身体は女性ホルモンに振り回されるので、やっかいだな、というイメージがありましたが、女性ホルモンは実は私たちを守ってくれていて、ほどほどに養生することを自然に意識させてくれていたのですね。実は女性ホルモンの恩恵を受けていたことを改めて知りました。「更年期」がただツライものではなく、自分の身体を大切にするきっかけになると良いですよね。

※専門家の見解であり効果を保証するものではありません
※QVCジャパンがインタビューした内容をまとめたコラムです

#更年期症状 #女性ホルモン #自律神経 #ホットフラッシュ